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| 接続 - ザ・コンタクト - |
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ここのところ、韓国新世代映画など比較的先鋭的な作品の紹介が続いていたので、たまには韓国映画らしい「分かりやすくて感動的な」映画を取り上げようかなーと思って選んだのが、この作品。韓国では1997年に公開され、『手紙』と並んでその年の記録的なヒット作となった、『接続 ザ・コンタクト』です。
若い女性に圧倒的に支持され、「接続シンドローム」なる言葉も生みだした映画、と聞いていたので、大甘のメロドラマを覚悟(期待?)していたのだが、思ったほど大甘ではなかった。
ラジオの深夜音楽番組のプロデューサー・ドンヨン(ハン・ソッキュ)は、6年も前に別れた恋人が今でも忘れられずにいる。そのドンヨンが担当するラジオ番組に、ある日匿名の人物から、ベルベット・アンダーグラウンドの古いLPが送られてくる。かつての恋人が送ってきたものだと直感したドンヨンは、翌日にその曲をリクエストしてきたスヒョン(チョン・ドヨン)という女性にメールを送る・・・・
と詳しく語るまでもなく、ストーリーは、「パソコン通信を媒介にした男女のすれ違いドラマ」と一言で事足りてしまうほど単純。
それにしても、1997年といえばつい5,6年前だけど、まだ携帯電話は今ほど普及してなかったのですねえ。携帯さえあればこういうすれ違いはまず起こりえないし、カメラ付きの携帯も当たり前になっている今なら、相手の顔ぐらいすぐに見られてしまう。もはやこういうすれ違いドラマはつくれなくなったと思うと、ちとさみしい。
お話しはステレオタイプでも、この映画が若い層にこれほど受け入れられたのは、そのストーリーを彩る小道具やちょっとしたエピソードが小洒落ているからだろう。
中心的な小道具であるパソコン通信やベルベット・アンダーグラウンドの曲以外にも、通り雨、ドライアイ、ポラロイド写真、ポケベル(懐かしい!)、映画館での待ち合わせ(上映している映画が、ウディ・アレンの「世界中がアイラブユー」なのがいいじゃないですか)と、凝ったディティールがあちこちに散りばめられていて、若い女性ならずとも楽しめる。
私個人としては、スヒョンのハンドルネームの由来と、二人が地下鉄で遭遇するちょっとしたハプニング、の二つのエピソードが心に残りました。
監督のチャン・ユニョンは、このコラムの第7回で紹介した「カル」の監督。「カル」の時は、技巧ばかりに走って肝心なところをすっとばしているような演出ぶりに少々反感を抱いたが、この作品では、デビュー作ということもあるのか、初々しさとテクニックがいい按配にミックスされていて、中々好感がもてた。元々センスはある人なのだから、こういう初心を忘れてほしくないですな(と偉そうな私は何様?)。
主演のハン・ソッキュは相変わらず渋い魅力満載だが(それにしてもこの映画が日本で紹介された当時、誰も彼のことなんか知らなかったんだよなあ。なんか不思議。だってそこには見慣れたあのソッキュがいるのに)、この映画で光っているのは、何といってもヒロイン、チョン・ドヨンだろう。
私にとって今までの韓国女優のベストと言えば、美しさでイ・ヨンエ、役柄も含めた総合的な魅力でシム・ウナ、だったのだが、ここにまた、「けなげさ」でチョン・ドヨンが加わった。
とにかくこの映画のドヨンちゃん、けなげ、けなげ、とにかくけなげ。日本の女優で言えば(顔は全然似てないが)そのけなげさが深津絵里をほうふつとさせる。そう言えば、パソコン通信恋愛映画の先駆け、森田芳光監督の「(ハル)」のヒロインも深津絵里だった。うーん、やはりこういうせつな系のラブ・ストーリーには、小柄でそれほど美人でもないけどけなげで可愛いヒロインが似合うのね。
とここまで褒めておきながら、どうしてもこの映画を手放しで「傑作」と言い切れないのはなぜだろうなー、とずっと考えていたのだが・・・
分かりました、その理由。一言で言えば、
「この映画、主役二人のラブ・ストーリーになってないんじゃないの?」
ということだ。
要はこういうこと。映画のほとんどの時間(106分の上映時間のうち80分近く)で描かれているのは、ソッキュ、ドヨンそれぞれのドラマ。二人は映画の最初の頃からメールで対話しているが、その対話は互いのドラマにほとんど影響してこない。で、それぞれのドラマが悲しい結末を迎えた後、二人はチャットを媒介に急速に親しくなる。でもって、すれ違いの後にようやく会ってハッピーエンド、ということになるのだが、そこでどうしても浮かんでしまうのが、
「で、この後、二人はどうなるの?」
という疑問である。
この二人、この後恋人同士になるの?ならないでしょ。ソッキュは翌日にはオーストラリア移住が決まってるんだし。まさかそれをキャンセルするとも思えないし、ドヨンちゃんがオーストラリアまでついていくとも思えない。
というより、二人がそんな行動をとるほど惹かれ合っているとは思えないのだ。会うのは初めてだから、というわけじゃないですよ。ここにくるまでの過程で、二人がそれほど強く結びつくようなドラマに組み立てられていない、ということなのだ。
恐らくこの映画で作り手たちが最大の命題として考えていたのは、この二人をどうやってすれ違わせ、どうやって最後会わせるか、ということであって、「どうしてこの二人が惹かれあうか」という最も重要なことは、チャットで交わすいくつかの他愛ない会話ですませてしまっている。
本来は、ここに至るまでのドラマの中でそれを描かなければならないのだ。例えば、二人がどこかで一度劇的な出会いをしているとか、会ってはいなくても次第に気になる存在になっていて、それぞれの恋の結末には互いの存在が影響しているとか・・・三文ライターとしては陳腐な例しかすぐには思い浮かばないが、でも、そういうのが映画でしょ?「(ハル)」は全部の時間をそれに費やしていたし、「めぐり遭い」を始めとするすれ違いドラマは全部それをきちんとやってきていると思う。単に「いつ会うのかどうやって会うのか」というだけじゃ、ラブ・ストーリーじゃないと思うんですけど。
あれ?なんか、褒めてきたのに最後はかなり辛口になってしまった。なぜこの監督にはこんなにきつくなってしまうんだろう。試しに三作目も観てみようっと。最後にちょっとケチをつけてしまいましたが、カップルとかで観るには最適の映画です、って、とってつけたようなフォロー。
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コラムニスト 丸山 正樹
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1961年東京生まれ。早稲田大学演劇科在学中に、シナリオ講座にてシナリオを学ぶ。 1996年、Vシネマ「湘南爆走族/帰ってきた伝説の5人」でシナリオライターデビュー。Vシネマ「痴漢白書9」ほか、テレビシナリオに「恋、した。」、舞台脚本として「アナザールーム」(椿組)など。企業・官庁の広報ビデオのシナリオも多数てがける。

連絡先:maruyama@asianpalam.com
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| ▼『接続 -ザ・コンタクト-』データ |
1997 韓国/原題:接続 |
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---- CAST
| ドンヒョン |
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ハン・ソッキュ |
| スヒョン |
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チョン・ドヨン |
| テホ |
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パク・ヨンス |
| ホン・ウニ |
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チュ・サンミ |
| ヒジン |
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カン・ミナ |
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---- STAFF
| 製作 |
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イ・ウン/シム・ボギョン |
| 監督 |
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チャン・ユニョン |
| 脚本 |
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チョ・ミョンジュ |
| 撮影 |
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キム・ソンボク |
| 照明 |
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イム・ジェヨン |
| 音楽 |
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チョ・ヨンウク |
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| 製作 |
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ミョン・フィルム |
| 配給・提供 |
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韓国映像投資開発 イルシン創業投資 シナ・エンターテイメント |
| ビデオ発売元 |
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ポニーキャニオン |
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マスターのちょっと一言
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この映画を直観的に酒に例えて一言。
「カシスソーダ」
さわやかなラブ・ストーリー。ラストに流れる曲「ラバーズ・コンチェルト」に甘い余韻を感じるね。
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ベルベット・アンダーグラウンド
シンプルかつワイルドな3コード・ロックンロールに、初めて「知性」を持ち込んだバンド。そのストイックかつアヴァンギャルドな音楽性は、現在第一線で活躍中のロックバンドにも大きな影響を与えている。アンディ・ウォホールがジャケットデザインを担当したことでも有名。ボーカルは、ボブ・ディラン、ニール・ヤングと並び称されるロック詩人、ルー・リード。
チョン・ドヨン
1973年生まれ。高校卒業後、モデルとして芸能界入り。1992年、テレビドラマで女優デビュー。映画出演は本作が初めてで、この映画の演技で第35回大鐘賞・第18回青龍賞など、その年の新人賞を独占。二作目の「約束」(1998年)もヒットし、たった2本で韓国映画界の看板女優に上り詰める。1999年に公開された「ハッピーエンド」では、新しい女性像を演じるために、オールヌードのセックスシーンにも果敢に挑んだという。うーん、こういうところも、けなげ
映画館
この映画館、ピカデリー劇場といって、レンガ色の外観で人気の映画館だったらしい。が、向かいの老舗の映画館「団成社」とともに、新しいシネコンに生まれ変わるため、取り壊されてしまったとのこと。新シネコンは2003年オープンというから、今ごろ完成していることでしょう。
「(ハル)」
1995年に公開された森田芳光監督作品。出演、深津絵里、内野聖陽、宮沢和史ほか。パソコン通信で知り合ったハルとホシの二人は、互いに悩みを打ち明けあううちに少しずつ親密さをまし、やがて会うことに・・・。天才と言われた黄金時代を過ぎ、しばらく低迷していた森田が復活した作品としてファンには認知されている映画。
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