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「芸のためなら女房も泣かす〜ぅ」 ってな唄が韓国にあるのかどうか知りませんが、舞台本番中に携帯電話を着信したイ・ジョンジェは、女房のためなら相方どころかなんと観客までも置き去りにしてしまうのです。本来あってはならない本番中の携帯電話を相方(コン・ヒョンジン)はすかさずアドリブで乗り切ろうとしてるのに・・・アクシデントを笑いに転換する(芸人としては)ある意味“オイシイ”瞬間なのに・・・あ〜ぁ〜もったいないな〜 ま〜こんな奴が売れるわけがないわな。
一方イ・ヨンエは「そばに私がついてなければ何もできないこの人だから〜」と口ずさんだかどうか知りませんが、かなりのしっかり者です。なんつったって心臓停止状態から蘇生した翌朝には笑顔で朝食を作ってるんだからね。
監督なり脚本家が「売れないコメディアンと彼を支える健気な女房。彼女は不治の病に冒されている。うん!よっしゃいける!こら泣けるで!」と思ったかどうか知らんが、イ・ヨンエの病気は何なのか?なぜ病気を圧して平静を装っているのか?イ・ジョンジェがなぜ売れないのに芸人を続けているのか?といったことは一切無視して突っ走る様は「テ〜ハンミング」の大歓声も記憶に新しいワールドカップ コリア・ジャパン大会での韓国代表の怒濤の攻撃のように理屈抜きに真直ぐなのだ。
まさに“泣け〜ぇ!泣け!泣かんかい!”といった感じで迫って来ます。
涙もろい人はバスタオルを用意して出かけるべし。特にイ・ジョンジェが勘当されている父親の許に赴くシーンからイ・ヨンエが亡き母親の墓前で独白するまでのくだりは泣かせます。
何故これほど泣けるのか?かつて息子の嫁であるイ・ヨンエがせっかく編んだセーターを受け取りもせずに追い返した父親(キム・ソンギョム)が、そのセーターを着て皆で記念撮影する時、キム・ソンギョムは言葉も無くただ手を差し伸べ、立ち位置を変え、新しい家族が初めて寄り添い、幸せな笑顔で写真に収まろうとする。まさにその瞬間、私達は交わるはずのない映画の登場人物達と視線を交えるのだ。
この時私達は彼らと対峙し、その視線を真直ぐに受けとめ、解放され、同調する。この瞬間こそが感動的なのだ。このシーンがなければ、続くイ・ヨンエの独白のシーンも、ただの熱演にしかならないもんね。同調しているからこそイ・ヨンエの科白のひとつひとつが胸に響くんだよな〜
・・・と、まぁ確かに泣けるし、そのツボの様なものもきっちり押さえてます。が、今回最も特筆したいのは、詐欺師のデコボココンビ ハスクとハッチョルを演じたクォン・ヘヒョとイ・ムヒョンの二人だ。特にハスク役を演じたクォン・ヘヒョは雨上がり決死隊の宮迫博之か、はたまた陣内孝則かってな風貌で、(顔が似てるとキャラも似てる?)良悪人と言うのか、悪くて良い人とでも言おうか、どこか憎めない詐欺師を微妙なブレンドで演じています。この詐欺師コンビが、作品を深いものにしているといっても過言ではない。いや、むしろこのデコボココンビがいなければ陳腐なものになってただろうな〜
初めはイ・ジョンジェに「警察に詐欺のこと密告するぞ」と脅されて、渋々彼に協力していくのだが、嫌だ嫌だと言いつつも徐々にイ・ジョンジェとイ・ヨンエに同情して行く様がおかしくも、温かいものを感じてしまいます。なぜ詐欺師になったのか?な〜んてかったるい説明がなくともクォン・ヘヒョはそこに居てしゃべり、振る舞うだけで人物像を体現してしまう。まさにこの作品の名脇役と言えましょう。クォン・ヘヒョの脇役としての次回作が楽しみですな〜

写真提供:パンドラ
韓国公式ホームページ http://www.funhappy.co.kr/
日本公式ホームページ http://www.seochon.net/lastpresent/
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コラムニスト 佐々木龍彦
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映像作家。1967年兵庫県尼崎市生まれ。
高校在学中より8ミリの製作を始める。88年東京映像芸術学院在学中「七転八倒」(16ミリ短編)製作、ゲリラ的上映活動。新潟映画塾講師も務める。主な作品は「雲ゆきバス」「空から見えた月」(共に16ミリ短編)など。

連絡先:sasaki@asianpalam.com
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| ▼『ラスト・プレゼント』データ |
2001 韓国/原題: (贈り物) |
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---- CAST
| ヨンギ |
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イ・ジョンジェ |
| ジョンヨン |
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イ・ヨンエ |
| ハスク |
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クォン・ヘヒョン |
| ハッチョル |
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イ・ムヒョン |
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---- STAFF
| 製作 |
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キム・ミヒ キム・サンジン |
| 監督・脚色 |
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オ・ギファン |
| 脚本 |
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パク・チョンウ |
| プロデューサー |
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キム・サンオ |
| 撮影 |
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イ・ソッキョン |
| 音楽 |
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チョ・ソンウ |
| テーマ曲演奏 |
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シークレット・ガーデン |
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| 製作 |
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FUN&HAPPINESS FILM |
| 投資・配給 |
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シネマ・サービス |
| 投資 |
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無限技術投資 |
| 日本提供 |
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キングレコード/プランニングOM/スキップ/パンドラ |
| 日本配給 |
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パンドラ |
| 日本宣伝 |
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スキップ/プランニングOM |
| 日本サントラ |
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キングレコード |
| 日本ノベル |
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竹書房文庫 |
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「ラスト・プレゼント」ストーリー
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ヨンギ(イ・ジョンジェ)は売れない三流コメディアン。妻のジョンヨン(イ・ヨンエ)は生活費を稼ぐため小さな子供服の店を経営している。二人は息子を幼くして亡くしていた。そのためか今は寝室も別々の二人は夫婦喧嘩が絶えない。
たいした仕事もないヨンギに内緒でジョンヨンはテレヴィ番組「お笑い王」のプロデューサーにヨンギのことを頼みにいったりしていた。その甲斐あってかヨンギはようやく「お笑い王」の勝ち抜き戦に出場する機会を得る。
順調に勝ち抜くヨンギとチョルス(コン・ヒョンジン)のコンビ。しかしヨンギはジョンヨンが不治の病に冒されていて、余命いくばくも無いことを知る。自分の病を夫に知らせようとしないジョンヨンを気づかって知らない振りをするヨンギ。お互いに相手を思い遣り気づかうがためにまたしても喧嘩になってしまう。
ある時ヨンギはジョンヨンが昔のアルバムを見て、何人かの名前を書き出していることを知る。「初恋の人にもう一度会いたいのだろう」と思ったヨンギは余命いくばくもない妻のためにかつて自分を騙そうとした詐欺師のハスク(クォン・ヘヒョ)とハッチョル(イ・ムヒョン)にジョンヨンが会いたがっている人を捜すよう依頼する。しかし不思議なことに旧友たちはただ懐かしくジョンヨンのことを語るだけで誰も会おうとしないのだ。多くが謎に包まれたままヨンギ達は番組で着々と勝ち抜いて行く。
やがてあらがえない運命が二人に訪れる。
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オ・ギソン監督
1967年釜山生まれ。助監督等、スタッフとしての活動の後、本作品が監督デビュー作となる。脚色も担当。
音楽担当チョ・ソンウ
1963年ソウル生まれ。延世大学で同期だった映画監督ホ・ジノの短編映画で音楽を担当し、映画音楽の世界に入る。ホ・ジノ監督の作品「八月のクリスマス」「春の日は過ぎゆく」はもちろん「フランダースの犬」(00)、「純愛譜」(00)、日韓共同製作ドラマ「フレンズ」(02、ウォンビン、深田恭子主演)など数多くの音楽を担当している。
なお、テーマ曲はノルウェーの作曲家とアイルランドの女性バイオリニストのコンビ、世界的に人気の「シークレット・ガーデン」が担当。
イ・ジョンジェ
1973年ソウル生まれ。1999年「太陽はない」で青龍賞男優主演賞を受賞。「インタビュー」ではシム・ウナと共演、「イル・マーレ」ともどもナイーブ(?)な男性を演じている。また2001年日韓共同製作の「純愛譜」でも主演。「黒水仙」では朝鮮戦争を背景として現代に発生した殺人事件に挑む刑事を演じている。
イ・ヨンエ
1971年ソウル生まれ。モデルとしてデビュー。TVドラマ、CMに多数出演した後、1996年「インシャラ」で映画デビュー。4年振りに出演した映画「JSA」で大人気となる。今、韓国映画一番の美人女優、と言い切ってしまおう!
第一回コラム「春の日は過ぎゆく」にも出演。
クォン・ヘヒョ
1965年生まれ。もともと舞台俳優だったが、テレビのミニシリーズ「愛を君の胸の中に」で注目され、宮迫似(?)の個性的な風貌とコミカルな演技で人気を得る。「エンジェル・スノー」(00)、「チム」(98)、「ゴースト・マンマ」「チェンジ」(96)等に出演。
イ・ムヒョン
この作品で注目を浴び、人気者に。日本で演劇の勉強した舞台出身の俳優。「反則王」「燃ゆる月」(00)等に端役で出演。
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