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| 美術館の隣の動物園 |
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俳優の輪、でつなげてきた丸山担当のこのコラム。今回も、「アタック・ザ・ガス・ステーション!」の主演男優だったイ・ソンジェつながりで、彼のデビュー作である『美術館の隣の動物園』をご紹介します。韓国では1998年末に公開され、年を越してのロングランになったヒット作。
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さて、イ・ソンジェ、この映画ではどんな渋い演技を披露してるのだろう・・・と見始めたのだが、中々彼が出てこない。主演と聞いていたけど、変だな。まさか・・・。そう、そのまさかで、どうも主役の男女の、男の方が彼らしい。不気味ささえ感じさせるほどの無表情で通した「アタック・ザ・ガス・ステーション!」の時とは180度異なるキャラクター(よくしゃべり、説教をたれ、料理が上手で男のくせに結構細かい・・・いってみれば韓国男性の典型か?)を演じていて、ほんと、同一人物とは思えない豹変ぶり。といっても、私は出演年を遡って観ているのでこうなる。ちゃんと順番に見ていれば、デビュー作では普通の役を演じていた彼が、三作目で新境地を拓いた、ということになり、俳優の成長過程を考えればさして不思議なことではないのでした。
ともあれ、この映画でのイ・ソンジェは普通すぎて大して印象に残らない。やはりこの映画は、シム・ウナなくして成立せず、映画の魅力はほとんどヒロイン役のシム・ウナが担っている、といっても過言ではない。
そのシム・ウナが演じるのは、結婚式のビデオ撮影を専門にする女カメラマン。撮影で会う機会の多い議員秘書にひそかに恋心を抱いているそんな彼女が、軍隊の休暇中に恋人に会いに来た男と、ひょんなことから期間限定の同居生活を送るはめになる。全くそりの合わない二人が、喧嘩を繰り返しながら、やがて互いに惹かれていく・・・というストーリーは、いわばロマンチック・コメディの王道といえる。
そんな平凡なストーリーがかくもみずみずしい映画になった最大の理由は、シム・ウナ演じるヒロイン、チュニのキャラクターの魅力につきる。(このチュニと、イ・ソンジェ演じるチョルスは、会った時、互いに「古臭い名前」と言い合うのだが、やはり韓国にも日本と同様、名前の流行りすたりというものがあるのだろうか?)このヒロイン、コップは割ってしまうから買わない、水はペットボトルから直飲み、料理を出されると「ヒャッホー!」と奇声を発する、髪はボサボサ、靴下は履かない、枕代わりにトイレットペーパーを頭の下に置いて寝る、といった有様で、一言で言えば「ガサツ」な女。なのに、なぜか恋に対してだけは臆病で、片思いの相手に告白もできない。そんな彼女が、「恋に恋していた」状態から、次第に身近にいる口うるさいチョルス(何せこの男、雨上がりにチュニが傘を手にしていると、「傘をさせ、その方が家に帰ってから乾かす手間が省けるだろ、さすだけじゃなくて回せ、その方が早く乾く」てなことまで言うんですよ)を好きになっていく、というプロセスは、おかしくもせつない。
このチュニという女性は、どうやら監督のイ・ジョンヒャン自身が投影されたキャラクターらしいのだが、それは、チュニが仕事の傍ら、映画のシナリオを書いて応募しようとしている、という設定からもうかがえる。そのシナリオを読んだチョルスが「こんなの面白くない」と勝手に書き変えたりしながら、そのシナリオ世界が「映画内映画」として描かれていく、という構成もまた、この映画を凡百の恋愛映画と一線を画すものにしている。
そしてこの映画をユニークなものにさせているもう一つのファクターが、タイトルにもなっている「美術館の隣の動物園」の存在だ。美術館と動物園が隣あっている、というこの不思議な場所が実在するものなのかどうかは知らないが、ロマンチックな女は美術館へ、俗物的な男は動物園へ、という二人のキャラクターを象徴する意味もあり、前述した「映画内映画」の主な舞台にもなってもいる。この場所を知った時、もしくは思いついた時、監督は恐らく「この話、イケル!」と思ったに違いない。
それにしてもシム・ウナ。資料を読むと「ノーメイクで演じて」とあるが、そんなこと全く気づかない程の可憐さ。単に美人というのとはちょっと違う。身近にいそうで、それでいていなさそうで、けなげで、ちょっと田舎臭いところもあって・・・出世作となった「八月のクリスマス」では、映画自体の素晴らしさとハン・ソッキュの魅力の陰にちょっと隠れた感のあった彼女だったが、この映画ではまさにその魅力全開だ。
そんな彼女と無骨なイ・ソンジェが交わす、「お前は臆病だ。傷つくのが恐いから片思いしかしないんだ。まるで外を眺めるようにな」「恋なんて一瞬で落ちるものだと思ってた。でも、少しずつ染まる恋もあるのね」などといった会話には、乙女の皆さんならそれだけでウルウルきてしまうんじゃないだろうか。かくいう私は今年41歳厄年のおっちゃんなので、さすがにウルウルはこないが、心の中で「可愛いぞ、ウナちゃん!」と叫ぶぐらいのことはするのだった。
複雑な過程を経て、現在は引退状態にあるウナちゃんだが、ファンの間では復帰待望論が後を絶たない。復帰したくない理由はいろいろあるのでしょうが、是非とももう一度スクリーンで観てみたい女優さんである。
(ポニーキャニオンからビデオ、DVD発売中/写真提供:東光徳間(現・徳間書店映像事業部)
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コラムニスト 丸山 正樹
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浮かれるシナリオライター
映画の企画は予想通り中断しているが、10月にハワイへバカンスに行く予定。仕事もしないでいいのか?韓国で苦手なものは、ポンデギと整形美女。

連絡先:maruyama@asianpalam.com
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| ▼『美術館の隣の動物園』データ |
1998 韓国/原題: |
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---- CAST
| チュニ |
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シム・ウナ |
| チョルス |
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イ・ソンジェ |
| インゴン |
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アン・ソンギ |
| タヘ |
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ソン・ソンミ |
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---- STAFF
| 監督・脚本 |
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イ・ジョンヒャン |
| 撮影 |
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チョ・ヨンギュ |
| 音楽 |
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キム・ヤンヒ/キム・デボン |
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| 製作 |
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シネ2000 |
| 配給 |
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シネマ・サービス |
| 日本提供 |
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ポニー・キャニオン/東光徳間/シネマスコーレ |
| 日本配給 |
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東光徳間/チャンネルアジア |
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「美術館の隣の動物園」ストーリー
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結婚式のビデオ撮影の仕事をしているチュニ(シム・ウナ)は式場で見かけた代議士の秘書インゴン(アン・ソンギ)に片思いをしている。
チュニがある日帰宅すると彼女の部屋に突然見知らぬ男チョルス(イ・ソンジェ)が・・・。 軍隊の休暇で恋人のタヘ(ソン・ソンミ)が住んでいた部屋 〜つまり今のチュニの部屋〜 へ来たのだがタヘは転居し、しかも他の男と婚約していた。滞納していた家賃を払ってもらったこともあり、追い出すに追い出せなくなったチュニは、チョルスと期限付きで共同生活をすることになる。
チュニはシナリオ公募に応募するために理想の恋愛をシナリオに執筆中。そのシナリオに口を出してくるチョルス。恋愛観が異なり対立する二人だが、シナリオを共同で書いていくうちに・・・。
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シム・ウナ
1972年生まれ。テレビドラマで活躍した後、映画へ。デビューして数本は作品にめぐまれなかったが、三作目である「八月のクリスマス」で第19回清龍賞主演女優賞を受賞。名実ともに韓国No.1女優の座に上り詰める。1999年にはハン・ソッキュと再演した「カル」も話題に。
古臭い名前
ある!美子(ミジャ)、淑子(スクジャ)など、「子」がつく名前はやはり韓国でも古臭いとされているようだ。それから春夏秋冬がつく名前。チュニは「春姫」か、そうじゃなくても「春」という字を思わせる名前。日本と同様、漢字を使わない、ハングルだけの名前というのが最近増えてきているらしい。ハヌル(空の意)、ナビ(蝶の意)など。男性の名前についても流行りすたりはあるが、女性ほど時代の差は感じられないようだ。「チョルス」は昔、小学校の国語の教科書に出てきた名前なので古臭いと感じるのだろう。
イ・ジョンヒャン
1964年ソウル生まれ。大学時代よりCMソングなどでその才能を発揮し、卒業後、韓国映画アカデミーを経て、助監督に。本作で韓国映画史上9人目の女性監督となる。また、本作は、監督自ら執筆したシナリオが第18回清龍賞シナリオ公募で大賞を受賞。監督したいと申し出る者多数という状況の中、イ・ジョンヒャン自らがメガホンをとることになった、という念願の作品。
実在するものなのか
果川(クァチョン)という美術館と動物園が両方あるソウル近郊の土地が舞台になっているらしいが、本当にその二つが隣り合わせにあるかまでは資料にない。美術館の中は、国立現代美術館が映画で初めてロケされているらしい。
複雑な過程
2001年ぐらいから継続的に「結婚・引退」説が流れる中、同年9月に以前より熱愛が報じられていた21歳年上の実業家と結婚!とスクープされる。が、その8日後に突然「結婚の完全白紙化と恋人との別離」が発表され騒然となる。11月に本人が、それまでの報道の真偽について自ら語り、正式に引退を表明。その後も復帰説が幾度となく流れているが、どうやら今のところカムバックはないようだ。
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