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全くもって厄介なポストちゃんであります。何が厄介かってこのポストちゃんったら時空を超えちゃうのです!さらに困ったことには、この「時空超え」がいつ実行されるかわかんない。ときちゃ、イ・ジョンジェもチョン・ジヒョンも「?」がいくつあっても足りない状況にもなってしまいます。
しかし、この作品のミソはこの厄介で困ったポストちゃんなのです。
なぜかというと、このポストに入るものしか時空を超えられないってことが重要なのですよ。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「ドラえもん」の机の引き出しみたいに人間が移動したりできないもんだから、歯痒い気持ちを手紙に綴るしかない といういわば時空間遠距離恋愛映画なのだ。
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携帯電話やインターネット全盛の時代に想いは文字にしていつ届くか分からぬポストに投函するしかなくて、「手紙きたよ〜」なんて電話がくるわけでもなく、ただひたすら返事を待つしかないなんて切ないじゃありませんか〜ぁ。
住んでる所は知ってるんだけど(実際訪ねるけどもちろん会えない)互いに抱き締めるどころか、触れることも出来ないんだよ〜 事実、駅のホームでイ・ジョンジェはチョン・ジヒョンに触れようとするんだけど、彼女は彼のことをこの時点では全く知らないので無視しまくるは、当時の恋人とベタベタするわ、踏んだり蹴ったりなのです。
愛の試練か、はたまた悪戯なのか、厄介で困ったポストちゃんを介して出会った(知り合った)二人はポストちゃんに手紙を託すしかないんですね。二人は手紙だけで親交(恋愛?)を深めて行くわけで、そうすると、この作品は、劇中の大半を手紙を書いたり読んだりして、ずっとひとり芝居になってしまうのがどうもひっかかるし、御丁寧にもOFF科白でこの手紙を読み上げるし、止せばいいのに気持ち悪いくらいにオシャレな映像をバックに想いをナレーションするので、ユーミンとかがガンガン掛かりまくるトレンディードラマとかを受け付けない人はダメかも・・・?
けれどもね、後半信じられないほど情感豊かなシーンがあるのですよ!
チョン・ジヒョンがかつての恋人と別れたくないためにイ・ジョンジェに協力を求めたけれども、実はそれが原因でイ・ジョンジェが死んでしまったことを知ると、なんとかその依頼を取り消そうと、あの厄介で困ったポストちゃんの許へとタクシーを走らせるまさにその時、タクシーの後部座席で、ただただ「死なないで〜」という想いを馳せる手紙をしたためるんだけど、ハングル文字なんてさっぱりわかんない私には普段は「ト」や「○」や「∧」を組み合わせた象形文字にしか見えないのに、画面に大写しになった便箋上を舞うその文字は感情の爆発なのです。
もちろんここではナレーションもOFF科白もなく、便箋に走り書きされるハングル文字を映すだけなのだが、私達には、痛い程チョン・ジヒョンの気持ちが伝わってくるんです!なんと感情豊かな文字なんでしょう。
私ゃハングル文字の走り書きなんて初めて見ましたよ。よく「プリントされた年賀状は心がこもってない」なんていうけど、こうゆうシーンを観てると、たしかに自筆の文字には(それが何語であっても)感情が宿るんだな〜 と痛感しますね。
この『書く(描く)』ということを映画で表現したのは素晴らしいし、その最大の立て役者は厄介で困ったポストちゃんですぞ!そしてこの感情大爆発な手紙を投函して、「お願いポストちゃん!この手紙をあの人に届けて〜〜」と泣きながらお願いするのです。
郵便屋さんにお願いした映画は数あれど、ポストに抱きついて懇願した作品なんてあったかいな?こんなシーンを観てたら「なんて厄介なポストやねん」とつっこみたくもなるわい。で、よ〜く観ていくと、ポストちゃんったら「実はオイラが主役だぜぃ!」といわんばかりにそこら中に顔(?)出して主張している。この『ポストちゃんの不思議な力』を信じるかどうかで印象ががらりと変わると思うし、チョン・ジヒョンもイ・ジョンジェも戸惑いつつも信じることから『時越愛』(原題)へと転がって行けたんだと思うんだな〜 あなたは信じることができますか?
さて、今夜は懐かしい友人に手紙でも書いてみようか。その手紙が時空を超えて未来に住むすんげ〜ぇ可愛い娘に届いて、それから・・・ ってわけにはいかないか・・・?
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コラムニスト 佐々木龍彦
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映像作家。1967年兵庫県尼崎市生まれ。
高校在学中より8ミリの製作を始める。88年東京映像芸術学院在学中「七転八倒」(16ミリ短編)製作、ゲリラ的上映活動。新潟映画塾講師も務める。主な作品は「雲ゆきバス」「空から見えた月」(共に16ミリ短編)など。

連絡先:sasaki@asianpalam.com
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| ▼『イル・マーレ』データ |
2002 韓国/原題: (時越愛) |
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---- CAST
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---- STAFF
| 監督 |
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イ・ヒョンスン |
| 脚本 |
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ヨ・ジナ、イ・ヒョンスン |
| 音楽 |
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キム・ヒョンチョル |
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| 製作 |
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ウノ・フィルム |
| 日本公開 |
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松竹(株) |
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「イル・マーレ」ストーリー
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1999年12月、キム・ウンジュ(チョン・ジヒョン)は慣れ親しんだ海辺の一軒家『イルマーレ』(イタリア語で「海」)を引き払い都心のアパートに引っ越して行く。郵便箱には自分宛に来る手紙をアパートに転送して欲しいという手紙を置いて。
1997年12月、ハン・ソンヒョン(イ・ジョンジェ)は親戚が建ててくれた海辺の一軒家『イルマーレ』に引っ越してくる。ところが、新築のはずの『イルマーレ』の郵便箱に見知らぬ女性キム・ウンジュからの手紙を受け取る。不思議に思いながらもハン・ソンヒョンは返事を送る
それから二人は手紙のやり取りをするが、最初は互いに相手が嘘をついていると思っている。だが、1998年の1月8日に大雪が降るから気をつけて、という手紙をキム・ウンジュからもらったハン・ソンヒョンはその予言が当ったことから信じるようになり、またキム・ウンジュもハン・ソンヒョンの真摯な手紙を読むうちに次第にイルマーレの郵便箱を通じて2年前の世界に手紙が届いていることを信じるようになっていく。
ハン・ソンヒョンは高名な建築家の父に捨てられたと思っている建築学科の大学生。大学には籍を置いているだけで、建築現場で働いている。キム・ウンジュはアメリカに留学後連絡が途絶えた昔の恋人が忘れられない声優。互いに心に傷を持つ二人は手紙を通じて心を開きはじめる。やがて二人はキム・ウンジュが住む2000年に会う約束をするのだが・・・
洒落た映像で綴るラヴファンタジーで恋人と観賞するのに最適?
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イ・ヒョンスン監督
1961年ソウル生まれ。美しい映像と美術セットに定評がある。「イル・マーレ」は彼の三作目の作品で、この家のセットはソウルの北西、江華島西側の席毛島に作られた。
イ・ジョンジェ
1973年ソウル生まれ。1999年「太陽はない」で青龍賞男優主演賞を受賞。「インタビュー」ではシム・ウナと共演、「イル・マーレ」ともどもナイーブ(?)な男性を演じている。また2001年日韓共同製作の「純愛譜」でも主演。「黒水仙」では朝鮮戦争を背景として現代に発生した殺人事件に挑む刑事を演じている。
チョン・ジヒョン
1981年ソウル生まれ。モデルを経てドラマ・CMで一躍人気者に。スクリーンデビューは「ホワイト・バレンタイン」。「猟奇的な彼女」で2002年大鐘賞女優主演賞と人気賞を受賞。
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