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ハン・ソッキュが笑ってる〜ぅ!
死と隣り合わせの日々だというのに、なんて自然に笑ってるんだろう。不治の病をオブラートで包むような姿に漂う美しさに酔いしれ、シム・ウナちゃんの純真無垢な姿にときめこうではありませんか。遺作となったユ・ヨンギルの撮影(一体どんな思いで撮ったんだろう?)も見事というほかありませんね。夏の光から冬の光へ・・・実に見事に切り取っています。す、素晴らしい。
そして、ガラスのようにはかなくて美しい恋・・・
ん?ガラス?そういえば、この作品の主な舞台となるハン・ソッキュが営む写真店の壁はすべてショーウィンドゥ(ガラス)になってたな〜 そのショーウィンドゥをシム・ウナがノックすると、店の中にいるハン・ソッキュが振り向き(笑って!)そのまま二人は「口パク」で会話をするんだけれども、「マッコリー チュセヨー」くらいしかわからない私の語学力では何しゃべってんだかさっぱりわからないので、口元を読むのではなく、つい字幕を読んでしまう。だけど映画は字幕を読んでちゃいけませんぜえ。言葉なんかわからなくっても、よ〜く場面を凝視していると、二人の会話ではなく、二人の間にガラスがあるってことが大事なんだと思えてくる。ガラスを介した恋ですな。
なぜかといえば、劇中で二人の最初のツーショットは店の入口の扉(もちろんガラス)に写った姿だったし、ハン・ソッキュがこのガラスを洗っている時に、かつての恋人が店に訪ねてくるんだけども、その姿は洗剤の泡に隠れて見えなくなってしまっているもんね〜 壁(ガラス)こそがこの恋、そして愛のなんたるかですよ!
よし!ここはひとつこの壁を「愛の神様が世を忍ぶ仮の姿」ということにしてしまおう!シム・ウナなんて、「急いでいる」だの「疲れた」だの呟きながら、ヒョイヒョイこの壁を飛び越えているんだけど(いいのか〜ぁ!その壁はあなたの愛の神様なんだぞ)、ハン・ソッキュが入院して、姿を消すと、壁(ガラス)は無情にもシム・ウナの前に立ちはだかって、店の中に入れようとはしない。まるで神様が与えた「愛の試練」のようじゃないか!そして、この壁の入口の隙間から手紙を入れたり、また取り出そうとしたり・・・といった一連の歯がゆい行動は、まるで愛の試練に立ち向かい、消えそうな愛を大事に守ろうとしているかのようにさえみえてくる。一方、一時退院したハン・ソッキュも、(店は違うけれども)ガラス越しにシム・ウナの姿を捕らえ、まるで抱き締めるように手を差し伸べるんだけれども、その手はガラスに遮られてしまい、決してシム・ウナ本人に触れることはない。これもまた、「愛の神様」が愛の試練として、ハン・ソッキュを諭しているようではないか!そうか〜ぁ 諭されたから、ラストで彼は、死んで行くのに、最高の笑顔を写真に焼きつけたんだな〜
私達が、シム・ウナが愛憎入り乱れて、あろうことか壁(神様ですぞ〜)を割ってしまう姿にことのほかドッキリしてしまうのは、この作品で、壁(ガラス)こそが恋であり、愛であることを無意識に感じていたからなんじゃないかと思う。そして、この壁(ガラス)は、やはり「愛の神様」なんだと思う。きっとそうだ!そうに違いない!!だって、ラストは、壁(ガラス)の向こうから愛が微笑んでいるんだもん!!!
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コラムニスト 佐々木龍彦
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映像作家。1967年兵庫県尼崎市生まれ。
高校在学中より8ミリの製作を始める。88年東京映像芸術学院在学中「七転八倒」(16ミリ短編)製作、ゲリラ的上映活動。新潟映画塾講師も務める。主な作品は「雲ゆきバス」「空から見えた月」(共に16ミリ短編)など。

連絡先:sasaki@asianpalam.com
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| ▼『八月のクリスマス』データ |
1998 韓国/原題: |
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---- CAST
| ジョンウォン |
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ハン・ソッキュ |
| タリム |
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シム・ウナ |
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---- STAFF
| 監督 |
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ホ・ジノ |
| 脚本 |
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オ・スンウク/シン・ドンファン/ホ・ジノ |
| 音楽 |
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チョ・ソンウ |
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| 製作 |
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ウノ・フィルム |
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「八月のクリスマス」ストーリー
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写真館を営む青年ジョンウォン(ハン・ソッキュ)は、病に冒され死を宣告されているが、取り乱すことなく、暮らしている。写真館には、好きな女の子の写真を引伸しにくる小学生や、口うるさいおばさんでにぎわっている。駐車違反取締官のタリム(シム・ウナ)も、違反車の写真を現像するために店にやってくる。タリムは穏やかなジョンウォンに親近感を感じ、デートを重ね、惹かれる合う。だが、いよいよ死期が近付いていると悟ったジョンウォンは、タリムの前から姿を消して・・・
鍋を囲む家族、すいかの種飛ばし、家族写真が遺影に使われると悟り深夜撮り直しにやってくる老婆、ビデオの操作手順が憶えられない老父に苛立ちながらも操作手順を書き綴るジョンウォン。
陳腐で下品になりがちな難病物ラブストーリーをさり気ないエピソードを積み重ねて珠玉の名偏にしたてあげた、まさに傑作!
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八月のクリスマス
1998年のホ・ジノ監督の記念すべきデビュー作。この作品で第19回青龍賞(最優秀作品賞、新人監督賞、撮影賞、主演女優賞)、第36回大鐘賞(審査員特別賞、新人監督賞、脚本賞)他多数の賞を獲得。ホ・ジノ監督2作目は第1回アジアンパラム・シアターで取り上げた「春の日は過ぎゆく」。
ハン・ソッキュ(韓石圭)
1964年ソウル生まれ。「シュリ」「カル」等で日本でもおなじみの、韓国を代表する演技派男性俳優。韓国映画界の若手のリーダー的存在。自ら歌う「八月〜」のエンディング・テーマもぐっとくる。「カル」以降ずいぶん待ったファンには次回作「二重スパイ」の公開が楽しみ。
シム・ウナ(沈銀河)
1972年京畿道金浦出身。この映画で各賞を総なめにし、演技派女優としての地位を確立。化粧バリバリじゃない、素顔の魅力が新鮮。その後「美術館の隣の動物園」「カル」等に出演し、人気を不動のものにするも、2001年惜しくも引退。ウナが「銀河」だってことが言いたくて名前の漢字まで書きました。
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