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「ソウルの食べ方歩き方」の著者:中山茂大の未発表コラムをどうぞ。


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第11回「一ヶ月の取材の間、新村の下宿にお世話になった。」
下宿とはいっても、マンションの一室のそれぞれの部屋を別々の人に貸すという感じで、僕が住むことになった五階にはほかにふた部屋あって、それぞれ学生と独身の会社員が住んでいるということだった。だから玄関も同じだし、風呂トイレも共同で、廊下に無造作に置いてある冷蔵庫も、屋上の壊れた洗濯機も共同だった。
四畳半ほどの部屋には立派で大きなデスクとイスが備え付きだったが、部屋にあったのはそれだけで、もっとも重要な生活用品がなかった。そう、ベッドだ。
オンドル部屋ではあるが、いまは夏なのでそんなものはいらないし、逆に敷き布団と上にかけるものくらい欲しかったので、大家のアジュンマに言うと、毛布を二枚と枕を貸してくれた。
同じ五階に住んでいる人たちとは結局ただの一度も、顔をあわせたことすらなかった。
僕が住むようになってから一ヶ月間はまったく誰も帰ってこない日が一週間も続いて、久しぶりに帰ってきた会社員らしい男も、風呂に入って冷蔵庫のオレンジジュースを飲んだ以外は部屋の中で英語のヒヤリングをしながらパソコンをいじっているようで、
僕と顔をあわせて挨拶をするといったことも一度もなかった。会社員の方だとわかったのは、玄関にビジネス用の革靴が脱ぎ捨ててあったからだ。
学生の方は結局僕がいる間、多分一度も部屋に帰ってこなかったと思う。いまはちょうど夏休みの期間だから実家に帰っていたのかもしれない。
韓国で下宿生活というからには、田舎のユースホステルのような、かなり濃い人間関係を期待していたが、まったくそんなことはなくて、ほっとしたような残念なような気分だった。ソウルも東京と同じということなんだろうか。
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文・中山茂大
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ソウルの
食べ方歩き方
文:中山茂大
写真:Ju Jun Yong
イラスト:水野あきら
山と渓谷社
1200円(税別) |
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ロバと歩いた
南米・アンデス
紀行
中山茂大
(なかやましげお)
双葉社
1,600円(税別) |
「ソウルの食べ方歩き方」の著者・中山茂大の記念すべきデビュー作。ロバとともに南米大陸5700キロ徒歩の旅。強盗に襲われ、大雨にみまわれ、寒い日も暑い日も歩き続けた307日の記録。貧乏トラベルライター中山の原点がここにある。
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ベトナム横丁
喧喧録
水野あきら
(みずのあきら)
文・イラスト
三修社
1,400円(税別) |
「ソウルの食べ方歩き方」の詳細なイラストマップでもその持ち味を充分に発揮してくれた水野あきらの代表作。この本ではイラスト同様味のある文章で我々をベトナムに誘う。人込みの中でしゃがみ、街の底から、底抜けの活気の正体を見つめたベトナムの絵解き見聞録。カラーイラスト多数。
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四国霊場
徒歩遍路
小野庄一
(おのしょういち)
文・写真
中央公論新社
1,700円 |
弘法大師・空海の足跡を訪ねながら四国八十八ケ寺・1,400キロに及ぶ道程を48日かけて歩いた写真家が見たこと、感じたこと。スピリチュアルな写真と珍道中のエピソードで綴るフォト&エッセー。振り回され、助けられ、途方に暮れながら、少しづつ進んでいく等身大の徒歩遍路を読者も体験できるであろう。徒歩遍路必読ガイド&地図付き。
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